飲み続けている薬、今も本当に必要ですか
皆さん、こんにちは。
とくにご高齢のがん患者さんを診ていると、いつも感じることがあります。
「がん」と一言で言っても、その方が抱えているのは、がんだけではない。
高血圧、糖尿病、心不全、肺気腫、リウマチ、脳梗塞、認知症……。何種類もの病気と長く付き合いながら、そこにがんが乗っかってくる。そういう方が、本当に多いのです。
そして、ここで一つ、悩ましい問題があります。
がん治療を担う先生は、がんについては誰よりも詳しい。でも、その方が他に飲んでいる薬の事情まで、すべてを把握しきれているとは限らないのです。
訪問診療ではじめて伺った患者さん宅でみたもの
ここで、ある患者さんの話を、ご紹介します。
大病院でがんの治療を終えて、ご自宅で過ごされていた方でした。大腸がんで、肝臓に転移がありました。
訪問の依頼を受けて、お伺いしました。
ご高齢のご夫婦の、お二人暮らしでした。お子さんたちは独立されて、別の地域にお住まいだそうです。
玄関を開けてくれたのは、ご高齢の旦那さんでした。「先生、妻が……」と言いながら、奥の和室まで案内してくださいました。
奥さんは、布団の中で横になっていらっしゃいました。声をかけても、返事に力がない。顔色もよくない。
枕元では、旦那さんがオロオロされていました。「先生、大丈夫でしょうか。どうしたんでしょうか」と、何度もおっしゃる。
事情を伺うと、ここ数日で一気に衰弱されたとのこと。ほとんど寝たきりに近い。食事もほとんど取れない。トイレに行こうとして、途中で動けなくなってしまったといいます。
奥さんは、もともと大病院に定期的に通院されていました。でも、ご高齢のご夫婦の場合、診察室で先生に細かいことを伝えるのは、なかなか難しいものです。「お変わりないですか」と聞かれて、「はい、まあ」と答えて終わってしまう。そんな場面が、実は少なくありません。
今回も「治療はもうできないので、家でみてもらいましょう」と言われただけだったそうです。
血圧を測ると、上の値が90を下回っている。かなり低い。
お薬手帳を見せていただきました。
そこに、ある違和感がありました。