人が死ぬとき 最期の1週間に何が起こるのか ~穏やかな時間のために家族ができること~
皆さん、こんにちは。緩和ケア医の廣橋猛です。
「家族を守る処方箋」をお読みいただき、ありがとうございます。今回のレターでは、「人が死ぬとき、最後の1週間に何が起こるか」についてまとめていきます。なぜ、この情報が皆さんにとって大切なのでしょうか。

はじめに
大切な人の最期が近づくとき、そばで見守るご家族は「これからどうなるのだろう?」と、大きな不安を感じるのは当然のことです。その気持ち、痛いほどよく分かります。私たち医療者にとっても、お一人おひとりの最期は、いつも身が引き締まる思いで向き合っています。
多くの場合、ご家族にとって、誰かの最期に立ち会うのは初めての経験です。これからの変化を知らないと、変化が訪れるごとに『これで大丈夫だろうか』と不安ばかりが募ってしまいます。でも、前もって何が起こるかを知っていれば、『ああ、先生が言っていた通りになってきているな』と、少しでも落ち着いてその時を迎えられるかもしれません。
もちろん、知ること自体に怖さもあるでしょう。けれど、それ以上に知識は皆さん(ご家族)の味方になります。なぜなら、知らないままだと、良かれと思ってした余計なことが、かえって大切な人を苦しめてしまうかもしれないからです。
この記事では、人が旅立つ前の最期の1週間ほどに起こりうる主な変化とその理由、そしてご家族に何ができるのかを具体的にお伝えし、穏やかな時間を過ごすためのお手伝いができればと考えています。
緩和ケアは、病気と闘うご本人だけでなく、支えるご家族のつらさにも寄り添う医療です。これからお話しすることは、多くの場合、身体が自然に旅立ちの準備を始めるプロセスの一部であり、穏やかに進んでいきます。
ただし、これはあくまで一般的な経過であり、お一人おひとりの状況によって現れる変化や時期は異なります。そのことを心に留めながら、読み進めていただければ幸いです。
第1部:最期の1週間にみられる主な身体の変化
死が数日から1週間ほどに近づくと、身体にはいくつかの特徴的な変化が現れ始めます。これは異常なことではなく、身体が活動を終え、穏やかに休息へと向かうための自然な準備段階と捉えることができます。
この記事は無料で続きを読めます
- 第2部:穏やかな時間を支える家族の関わり
- 第3部:つらい症状が見られたときの対応
- 第4部:よくあるご質問(Q&A)
- おわりに
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