緩和ケア医とはどういう人たち?
皆さん、こんにちは。
先週、福岡で第30回日本緩和医療学会学術大会が開催されました。
全国から集まった緩和ケア医、そして緩和ケアに関わる看護師、薬剤師、その他の職種の方たちが、2日間にわたって最新の知見を共有し、より良いケアについて議論を交わしました。

学会のブースにて撮影に応じる筆者
会場を歩いていると、「緩和ケア医」といっても実に多様な背景を持つ医師たちが集まっていることに、改めて気づかされます。
「緩和ケア医」と聞いて、皆さんはどのような医師を思い浮かべるでしょうか?
一般的なイメージと現実のギャップ
「緩和ケア医は終末期の患者さんだけを診る医師」
「ホスピスや緩和ケア病棟でしか働いていない」
「がんの治療をあきらめた後に登場する医師」
そんなイメージを持たれている方が多いかもしれません。確かに、緩和ケア医の重要な役割の一つは終末期のケアですが、実際の活動はもっと多岐にわたっています。
学会会場で出会った緩和ケア医たちの話を聞いていると、それぞれが全く異なる場所で、異なる形で患者さんやご家族と関わっていることがわかります。
様々な場所で活躍する緩和ケア医たち
それでは、異なる専門背景を持つ緩和ケア医たちの1日を覗いてみましょう。
A先生:がん拠点病院の緩和ケアチーム医師の1日
午前8時 病棟で夜間の患者さんの様子を看護師から聞き、今日の治療方針を確認。
午前9時 消化器内科から依頼された患者さんの診察。抗がん剤治療中の吐き気が強く、食事が摂れない状況。吐き気止めの調整と栄養サポートについて主治医と相談。
午前10時 緩和ケア外来。骨転移の痛みに悩む乳がん患者さんと面談。痛み止めの調整とともに、復職への不安についてもじっくり話を聞く。
午後1時 緩和ケアチームのミーティング。看護師、薬剤師、ソーシャルワーカーらと一緒に、今週新たに依頼があった5名の患者さんについて情報共有。
午後2時 血液内科病棟を回診。白血病で抗がん剤治療中の患者さんの痛みとせん妄の評価。ご家族からの質問にも丁寧に答える。
午後4時 退院前カンファレンスに参加。在宅医療に移行する患者さんについて、在宅医や訪問看護師と情報共有。
B先生:在宅緩和ケア医師の1日
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- 広がる非がん疾患への緩和ケア
- 緩和ケア医になるまでの道のり
- 多職種との連携、地域での連携を大切にする専門家
- 患者さんとご家族の声に耳を傾ける専門家
- 最後に
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