AIは余命を答えた。でも、答えられなかったことがある

AIに余命を聞いた患者さんと、診察室で起きたこと。
廣橋猛 2026.08.16
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皆さん、こんにちは。

お盆休みはいかがお過ごしでしたか?帰省された方もいれば、何事もなく普通に仕事だった方もいるでしょう。

病院というのは不思議なもので、年末年始はお休みになりますが、お盆は通常体制のところが多いですね。というわけで、私も通常業務で、むしろ普段より多忙に過ごしていたかもしれません。いずれにせよ、夏バテしないように気をつけてがんばっていこうと思います。

というわけで、今日は過去には想像もしなかったAIと患者さんの関わりについてのお話です。

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「先生、これを見てください」

初めての診察の日。椅子に腰を下ろすより先に、木村さん(仮名)はバッグからスマートフォンを取り出しました。70歳の男性。肺がんの再発で、私の緩和ケア外来に紹介されてきた方です。

画面には、AIが生成した長い文章が表示されていました。病名、これまでの治療の経過。おそらくご自分で知っている情報を、そのまま打ち込んだのでしょう。返ってきた答えの一部が、スクリーンショットで残されていました。「生存期間の目安は、およそ半年」。

「調べちゃったんです。いけないことでしたか?」

木村さんは、少しおびえたような目で私を見ました。

私の印象に残ったのは、その表情です。木村さんが恐れていたのは、余命の数字そのものよりも、「勝手に調べたこと」を医師に叱られることだったのです。

調べるのは、当たり前のことです

正直に言うと、以前の私なら「ネットの情報は当てになりませんよ」と言っていたかもしれません。実際、今もそう言う医師は少なくないと思います。不確かな情報に振り回される患者さんを守りたい。その気持ち自体は、間違っていません。

でも、この言い方には問題があります。

まず、無理なのです。生成AIの答えの精度は格段に上がっていますし、スマートフォンを取り上げることはできません。診断名を聞いて家に帰れば、調べるまでに1時間もかからないでしょう。医師に渡された資料をそのまま写メで撮って、よく分からないところや知りたいことをAIに質問することもできます。「調べないでください」と言われた患者さんは、調べるのをやめるのではありません。調べたことを、医師に言わなくなるだけです。

そして、もっと心配なのはその先です。言えなくなった患者さんは、次に不安になったとき、AIにだけ相談して、診察室では口をつぐむようになります。AIは24時間いつでも応じてくれて、叱らないし、忙しそうな顔もしませんから。

だから私は、木村さんにこう言いました。

「調べますよね。気になりますものね。当たり前です。私だって、自分の身体のことなら調べます」

木村さんの肩から、力が抜けたのが分かりました。

もしあなたが、あるいはあなたの大切な人が、AIに病気のことを聞いてしまったのなら。それを後ろめたく思う必要は、まったくありません。

AIにできること、できないこと

では、AIが出した数字とは、どう付き合えばいいのでしょうか。

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  • AIに聞いていい。でも、そこで終わらせない

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