息が苦しいとき、家族ができること

孫に絵本を読めなくなった祖父に、5歳の手ができたこと
廣橋猛 2026.05.23
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大切な人が息を切らして苦しんでいる姿を前に、「自分には何もしてあげられない」と、ただ立ちすくんでしまったことはありませんか。

正雄さん(75歳)は、重度のCOPD(慢性閉塞性肺疾患、肺気腫)を患っていました。

若い頃から長年吸い続けてきた煙草が原因で、肺の機能が大きく低下していました。少し動いただけで息が切れる。階段を上るのも、服を着替えるのも、ひと苦労です。鼻に酸素を補う管をつけて生活していました。

かつては現役で工場を切り盛りしていた、働き者の正雄さん。それが今では、家の中を移動するだけでも息を整えなければならない。本人にとって、そのもどかしさは相当なものでした。

ある日、5歳の孫娘・あかりちゃんが遊びに来ました。あかりちゃんは正雄さんが大好きで、遊びに来るといつも絵本を持ってきます。

「おじいちゃん、絵本読んで!」

正雄さんは、目を細めて絵本を受け取りました。孫に絵本を読んでやるのは、正雄さんにとって何よりの幸せでした。ページを開いて、ゆっくりと読み始めます。

ところが、数行も読まないうちに、正雄さんの呼吸が乱れ始めました。声を出し続けることすら、いまの正雄さんには負担なのです。「ゼーゼー」と肩で息をしながら、それでも読もうとする。

あかりちゃんが、心配そうに顔をのぞき込みました。

「おじいちゃん、くるしいの?」

妻が慌てて駆け寄ります。「あなた、もう無理しないで! あかり、おじいちゃんは今日は疲れてるから、また今度ね」

正雄さんは絵本を閉じ、苦しい息の中で、それでも申し訳なさそうに笑いました。その目には、孫に絵本を読んでやりたいという気持ちが、はっきりとにじんでいました。

息苦しさは、本人だけでなく、見ている家族もつらくなる症状です。苦しむ姿を前に、妻も、孫のあかりちゃんも、ただおろおろするしかない。多くのご家族が、「どうしていいか分からない」と立ちすくんでしまいます。

でも、「何もできない」わけではないのです。

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