「先生、モテなさそう」と笑った女子高生が最期に言ったこと ~ケアするあなたへ伝えたいこと~

「いる」ことの価値、「知る・学ぶ」ことの意味
廣橋猛 2025.05.16
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皆さん、こんにちは。緩和ケア医の廣橋猛です。

「家族を守る処方箋」をお読みいただき、ありがとうございます。

はじめに:忘れられない、あの日の言葉

もう20年以上前のことになります。私がまだ医師になって3ヶ月ほどの、本当に駆け出しの研修医だった頃。大学病院の血液・腫瘍内科という、白血病や悪性リンパ腫など血液のがんを専門とする病棟で研修していました。

そこで担当させてもらったのが、10代後半の、女子高生の女の子でした。彼女は白血病が再発し、長い間、先の見えない入院生活を送っていました。周りのスタッフからは「少し精神的に不安定なところがあるから、気をつけて関わってね」と申し送られていましたが、なぜか私とは馬が合ったというか、年の離れた兄妹のように、気兼ねなく話せる関係になりました。

時間を見つけては彼女の病室を訪れ、たわいもない雑談をするのが日課のようになっていました。時には若い看護師さんたちも輪に加わって、「先生、今日の服装、ちょっと変じゃない?」「〇〇先生って、意外とカッコいいよね」なんて、今思えば本当にくだらない、でも当時はそれが日常だった「若者トーク」に花を咲かせていました。

「先生ってさー、どの看護師さんがタイプなの?」

「うーん、みんな素敵だけどねぇ…」

「でもさ、先生はモテなさそう~(笑)」

「…ひどいなぁ(苦笑)」

そんな、クスッと笑えるようなやり取りを、私たちは何度も繰り返していました。彼女の笑顔を見るのが、当時の私にとっても大きな喜びでした。

もちろん、私だって医師の端くれです。彼女の病状が厳しいことは理解していました。ただ、当時の私には、特別な医療技術も、深い知識も、そして経験もありませんでした。正直に言えば、「彼女のそばにいて、話を聞く」ことくらいしか、私にできることはなかったのかもしれません。

この記事では、そんな未熟だった頃の私と、短い間だったけれど濃密な時間を一緒に過ごしてくれた彼女との記憶を辿りながら、今、大切な人のそばで懸命にケアをされているあなたへ、私だからこそ伝えられることがあるのではないか、そう思ってお話しさせていただきます。

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