がん患者が在宅医療を勧められたら、確かめた方がいい8つのこと
「そろそろ、退院を考えましょう。ご自宅でしたら、在宅医療を入れる形で」
がんで入院しているお父様の病室で、娘さんがそう言われました。
治療は、ひと区切りついた。でも、父はほとんどベッドの上で、起き上がるのもやっと。この状態で、家に連れて帰れるのだろうか。在宅医療って、何をしてくれるのだろう。そもそも、まだ決めていないのに、なぜ急に退院の話なのか。
こういう戸惑いを、私は病院の緩和ケア医として、そして在宅医として、何度も見てきました。
先に、知っておいていただきたいことがあります。がんの治療を担う大きな病院には、長く入院し続けることが難しい事情があります。治療が一段落すると退院を促されるのは、あなたのお父様が特別なのではなく、多くの患者さんに起きていることです。
そして、戸惑うのは当然です。在宅医療は、病院が決めて始めるものではなく、ご本人とご家族が確かめて選択するものだからです。
今日は、がん患者さんが在宅医療を勧められたときに、確かめておきたいことを8つ、整理します。
まず、在宅医療とは何か
在宅医療は、医師が定期的に自宅を訪ねて診察する「訪問診療」を中心に、看護師が訪ねる「訪問看護」、ヘルパーによる「訪問介護」、介護ベッドや手すりといった「福祉用具」などを組み合わせたものです。がんの場合は、日々の看病に加え、痛みや息苦しさなどの症状を和らげること、そして急な変化に対応することが大きな役割になります。
ここから、確かめたい8つのことです。
1. ご本人は、家に帰りたいと思っているか
いちばん大切なことを、最初に書きます。
退院の話は、病院と家族のあいだで進み、ご本人が置き去りになることがあります。ご本人が家に帰りたいのか、病院の方が安心なのか、まず聞いてください。病院の都合だけで帰らされる、ということがないように。ご本人の気持ちが、すべての出発点です。本人が望まない場合は、他の選択肢も候補に相談するべきです。
2. 家で、誰が、どれだけ介護できるか
ここで多くのご家族が、「無理だ」と思ってしまいます。昼間は仕事で家にいない。夜しか見られない。
でも、24時間誰かが張り付いていなければならない、というわけではないことが多いのです。昼間に家族が不在でも、訪問看護や訪問介護を組み合わせて、ある程度は見てもらえる可能性があります。最初から諦めず、「この体制で、どこまでできますか」と相談してみてください。
それでも難しいなら、緩和ケア病棟への転院や施設という選択肢もあります。在宅が唯一の正解ではありません。
3. 退院前に、具体的な1週間の計画が立てられるか
退院の前に、在宅医・訪問看護師・ケアマネジャーなどが集まって打ち合わせをすることがあります(退院前カンファレンスと呼ばれます)。
ここで大切なのは、顔合わせそのものより、自宅で実際に、誰が、いつ、何をしに来るのかを、1週間の予定として具体的に組むことです。月曜は看護師、火曜はヘルパー、水曜は医師——このように見えてくると、ご家族の不安はかなり減ります。
ただし、一つ付け加えます。時間に余裕がないとき——ご本人の状態が厳しく、それでも家に帰りたいというときは、打ち合わせに時間を使うより、一日でも早く帰ることを優先すべき場面もあります。その判断は、医師や看護師に率直に相談してください。
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- 4. 夜間や急変のとき、誰に電話すればいいか
- 5. 苦しくなったとき、入院できる場所は決まっているか
- 6. 提案された在宅医や訪問看護は、なぜそこなのか
- 7. 費用は、入院と比べてどうか
- 8. 治療中から、という選択肢もある
- 聞いていい。確かめてから、決めていい
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