有名人の病気を、語らないと決めた理由

バズりたい気持ちは、わかる。だからこそ
廣橋猛 2026.09.11
サポートメンバー限定

皆さん、こんにちは。

サポートメンバー向けの記事が、少し間が空いてしまい申し訳ありません。緩和ケアの学会のイベントがいくつもあり、まとまって記事を書く余裕がありませんでした。

今日から立て続けに記事を出していきますので、どうぞよろしくお願いします。学会で感じたことも書いていきますね。

さて、今日は最近こっそり感じていることの開示です。

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私も、有名人の闘病記事でバズった

芸能人や有名人の方が、病気を公表する。あるいは、訃報が流れる。

そのたびに、SNSやYouTubeには、専門家を名乗る人たちの「解説」が並びます。病状の見立て。治療への論評。中には、煽るようなタイトルやサムネイルも見かけます。訃報が流れたその日のうちに、動画や記事が上がっていることも珍しくありません。

おそらく、バズりやすいのでしょう。有名人の名前と病気の組み合わせは、注目を集める最短ルートです。実際、そうした動画や記事には、たくさんの再生数や「いいね」がついています。「勉強になりました」というコメントも、並んでいます。求められている、という側面も確かにあるのだと思います。

それを見るたび、正直、複雑な気持ちになります。

でも、この話を、他人事のような顔をして書くわけにはいきません。先に、告白しておくべきことがあるからです。

実は、私自身がそうだったのです。

ネットでの連載記事(医療者向け)を始めた当初のことです。最初に大きくバズったのは、俳優の今井雅之さんの闘病に触れた記事でした。

当時、今井さんは記者会見で、とても苦しみながら治療を受けていることを語っておられました。その姿を見て、私は思ったのです。この苦しみに、緩和ケアが届いてほしい、と。その願いを込めて、記事を書きました。

大きな反響がありました。連載を始めたばかりの、まだ読者も少なかった頃です。数字が伸びていくのを、何度も確認したのを覚えています。記事は主要な新聞にも転載されました。

率直に言えば、嬉しかったです。それまで届かなかった数の人に、緩和ケアという言葉が届いた。「緩和ケア=終末期」「もう打つ手がない人のもの」という世間の誤解を、解くきっかけになる。そう感じて、手応えすら覚えていました。

有名人の名前が持つ力を、私は身をもって知っているのです。バズの味を、知っているのです。だから、ああいう発信をする人たちの気持ちが、まったく分からないわけではありません。むしろ、分かってしまう。

でも、いまの私は、極力、有名人の方の病気には触れないと決めています。公表された内容に触れることはあっても、その先には踏み込まない。訃報に際して、解説めいたことは書かない。そう決めて、もう何年にもなります。

あれから何が変わったのか。あの記事を、いまの私はどう思っているのか。ここから先は、そのことを率直に書きます。

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