「よい死に方」って、あると思いますか

緩和ケア医・廣橋猛から皆さんに大切なお知らせです
廣橋猛 2026.11.06
誰でも

こんにちは。緩和ケア医の廣橋猛です。

今日は少し、私ごとをお話しさせてください。 11月20日、新しい本を出します。

『よい死に方 いまから準備する18の手がかり』(日経BP 日本経済新聞出版)

このニュースレターでは、発売前後に何度か、この本の話をさせていただくつもりです。しつこいなと思われたら、ごめんなさい。それでも書きたい理由があるのです。

「よい死に方」なんて、あるのか

いきなりですが、「よい死に方」って、あると思いますか。

死は悲しいことです。できれば避けたい。考えたくもない。そう思うのは当然です。私も、見送るときはいつも悲しい。

でも私は、悲しいけれど「よかった」と思える最期は、たしかにあると思っています。

私は東京の緩和ケア病棟で診療をしながら、在宅医療もしています。病院と家、両方で患者さんを看る「二刀流」です。これまで、何千人もの方の最期に関わってきました。

そのなかで、ずっと気になっていたことがあります。

悲しい中にも、どことなく穏やかで安堵した空気を持つ最期と、そうでない最期。その違いは、どこから来るのだろう。

最初は、運だと思っていました。病気の種類、家族の事情、たまたま出会えた医療者。たしかに、それもあります。

でも、たくさんの最期を見送るうちに、気づいたのです。最期がよいものになった人は、ただ運がよかったわけではありません。どこかの時点で、小さな準備をしていました。

大きな準備ではありません。

家族に一言、口にしておいた。 自分の希望を、誰かに伝えておいた。 好きなことを、最後まで手放さなかった。

それだけのことが、最期の日々を変えていたのです。

3,000人の遺族が教えてくれたこと

日本には、「望ましい死とは何か」を遺族3,000人以上に尋ねた研究があります。緩和ケアの世界ではよく知られた研究で、答えは18の項目にまとまっています。

たとえば、痛みやつらさが和らいでいること。 家族や友人とよい関係でいること。 自分のことを、自分で決められること。 人生を全うしたと感じられること。

ひとつひとつ読んでいくと、あることに気づきます。 どれも、死ぬ瞬間の話ではないのです。そこに至るまで、どう過ごしてきたかの話です。

つまり、生き方の話なのです。

ひとつの問いに、ひとりの物語

この本では、18の項目を「18の問い」にしました。それぞれの問いに、ひとりの物語がついています。私が実際に出会ってきた患者さんたちの姿を、もとにしています。

読み方は、少し変わっています。

各節は、三択の問いから始まります。たとえば、こんな問いです。

人生の最終段階で受ける医療について、あなたの考えにいちばん近いものはどれですか?

A. 元気なうちに、文書に残すなどして、はっきり決めておきたい
B. 決めきれなくてもいいから、家族や医師と話し合いを重ねておきたい
C. そのときになってみないとわからないから、そのときの気持ちを大切にしたい

正解はありません。どれを選んでも間違いではないのです。

答えを胸にしまったまま、物語を読み進めてください。読み終えたとき、自分の選んだ答えが少し違って見えるかもしれません。そして最後に、「いまからできること」をいくつか提案しています。

表紙が、うな重である理由

本屋さんで見かけたら、少し驚かれるかもしれません。 この本の表紙は、うな重なのです。

花でも空でもなく、うな重。

90歳の千代さんという女性の物語が、この本の真ん中にあります。心臓の病気を抱えながら、月に一度の、友人とのうなぎを最後まで手放さなかった人です。さきほどの三択は、千代さんの物語についている問いです。

緩和ケアの柱は、生活を支えることです。人は最後の日まで、生活を背景に生きています。病院のベッドの上でも、自宅の布団の中でも。

だから表紙には、生活のなかの楽しみを置きたかったのです。

よい死に方は、よい生き方

この本を読めば、「よい死に方」とは何かがわかります。

そして、どうすればそこへ近づけるかがわかります。

自分のために。
あるいは、親のために。

あなたにとっての「よい死に方」を、一緒に探してみませんか。

よい死に方は、よい生き方のことなのです。

***

『よい死に方 いまから準備する18の手がかり』 廣橋猛/日本経済新聞出版 定価2,200円(税込) 11月20日発売

Amazonで予約受付中です → 【リンク】

***

発売翌日の夜、オンラインでお話しします

最後に、お知らせをひとつ。

このニュースレターの読者の方だけに向けて、オンラインでこの書籍に関連した話をする会を開きます。無料で読んでくださっている方も、もちろん対象です。

よい死に方は、よい生き方 ――『よい死に方』ができるまで、そして19番目の物語

  • 日時:11月21日(土)21:00〜22:00(発売の翌日です)

  • 方法:Zoomウェビナー(お顔やお名前が、ほかの方に見えることはありません)

お話しするのは、この本が「できるまで」です。

なぜ書こうと思ったのか。18の問いと物語という形に決めた理由。表紙がうな重になるまでのこと。 それから、一問だけ、皆さんと一緒に三択に答えてみたいと思っています。

本をまだ読んでいなくても大丈夫です。読み終えた方には裏側の話を、これから読む方には開く前のヒントをお届けします。

参加のリンクは、前日までにニュースレターでお送りします。当日来られない方にも、後日、録画をお届けします。

発売翌日の夜、少しだけお付き合いください。

これから、書評や本の一部の公開など、お知らせできることが出てきたら、その都度このニュースレターでお伝えします。

廣橋猛

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