「よい死に方」って、あると思いますか
こんにちは。緩和ケア医の廣橋猛です。
今日は少し、私ごとをお話しさせてください。 11月20日、新しい本を出します。
『よい死に方 いまから準備する18の手がかり』(日経BP 日本経済新聞出版)
このニュースレターでは、発売前後に何度か、この本の話をさせていただくつもりです。しつこいなと思われたら、ごめんなさい。それでも書きたい理由があるのです。
「よい死に方」なんて、あるのか
いきなりですが、「よい死に方」って、あると思いますか。
死は悲しいことです。できれば避けたい。考えたくもない。そう思うのは当然です。私も、見送るときはいつも悲しい。
でも私は、悲しいけれど「よかった」と思える最期は、たしかにあると思っています。
私は東京の緩和ケア病棟で診療をしながら、在宅医療もしています。病院と家、両方で患者さんを看る「二刀流」です。これまで、何千人もの方の最期に関わってきました。
そのなかで、ずっと気になっていたことがあります。
悲しい中にも、どことなく穏やかで安堵した空気を持つ最期と、そうでない最期。その違いは、どこから来るのだろう。
最初は、運だと思っていました。病気の種類、家族の事情、たまたま出会えた医療者。たしかに、それもあります。
でも、たくさんの最期を見送るうちに、気づいたのです。最期がよいものになった人は、ただ運がよかったわけではありません。どこかの時点で、小さな準備をしていました。
大きな準備ではありません。
家族に一言、口にしておいた。 自分の希望を、誰かに伝えておいた。 好きなことを、最後まで手放さなかった。
それだけのことが、最期の日々を変えていたのです。
3,000人の遺族が教えてくれたこと
日本には、「望ましい死とは何か」を遺族3,000人以上に尋ねた研究があります。緩和ケアの世界ではよく知られた研究で、答えは18の項目にまとまっています。
たとえば、痛みやつらさが和らいでいること。 家族や友人とよい関係でいること。 自分のことを、自分で決められること。 人生を全うしたと感じられること。
ひとつひとつ読んでいくと、あることに気づきます。 どれも、死ぬ瞬間の話ではないのです。そこに至るまで、どう過ごしてきたかの話です。
つまり、生き方の話なのです。
ひとつの問いに、ひとりの物語
この本では、18の項目を「18の問い」にしました。それぞれの問いに、ひとりの物語がついています。私が実際に出会ってきた患者さんたちの姿を、もとにしています。
読み方は、少し変わっています。
各節は、三択の問いから始まります。たとえば、こんな問いです。
人生の最終段階で受ける医療について、あなたの考えにいちばん近いものはどれですか?
A. 元気なうちに、文書に残すなどして、はっきり決めておきたい
B. 決めきれなくてもいいから、家族や医師と話し合いを重ねておきたい
C. そのときになってみないとわからないから、そのときの気持ちを大切にしたい
正解はありません。どれを選んでも間違いではないのです。
答えを胸にしまったまま、物語を読み進めてください。読み終えたとき、自分の選んだ答えが少し違って見えるかもしれません。そして最後に、「いまからできること」をいくつか提案しています。
表紙が、うな重である理由
本屋さんで見かけたら、少し驚かれるかもしれません。 この本の表紙は、うな重なのです。
花でも空でもなく、うな重。
90歳の千代さんという女性の物語が、この本の真ん中にあります。心臓の病気を抱えながら、月に一度の、友人とのうなぎを最後まで手放さなかった人です。さきほどの三択は、千代さんの物語についている問いです。
緩和ケアの柱は、生活を支えることです。人は最後の日まで、生活を背景に生きています。病院のベッドの上でも、自宅の布団の中でも。
だから表紙には、生活のなかの楽しみを置きたかったのです。
よい死に方は、よい生き方
この本を読めば、「よい死に方」とは何かがわかります。
そして、どうすればそこへ近づけるかがわかります。
自分のために。
あるいは、親のために。
あなたにとっての「よい死に方」を、一緒に探してみませんか。
よい死に方は、よい生き方のことなのです。
『よい死に方 いまから準備する18の手がかり』 廣橋猛/日本経済新聞出版 定価2,200円(税込) 11月20日発売
Amazonで予約受付中です → 【リンク】
発売翌日の夜、オンラインでお話しします
最後に、お知らせをひとつ。
このニュースレターの読者の方だけに向けて、オンラインでこの書籍に関連した話をする会を開きます。無料で読んでくださっている方も、もちろん対象です。
よい死に方は、よい生き方 ――『よい死に方』ができるまで、そして19番目の物語
日時:11月21日(土)21:00〜22:00(発売の翌日です)
方法:Zoomウェビナー(お顔やお名前が、ほかの方に見えることはありません)
お話しするのは、この本が「できるまで」です。
なぜ書こうと思ったのか。18の問いと物語という形に決めた理由。表紙がうな重になるまでのこと。 それから、一問だけ、皆さんと一緒に三択に答えてみたいと思っています。
本をまだ読んでいなくても大丈夫です。読み終えた方には裏側の話を、これから読む方には開く前のヒントをお届けします。
参加のリンクは、前日までにニュースレターでお送りします。当日来られない方にも、後日、録画をお届けします。
発売翌日の夜、少しだけお付き合いください。
これから、書評や本の一部の公開など、お知らせできることが出てきたら、その都度このニュースレターでお伝えします。
廣橋猛
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